現地採用は宝か、それとも…?タイで優秀な人材を確保する泥臭い戦略

タイ駐在MDの泥沼奮闘記!経営崖っぷちからV字回復を狙う

タイの工場に赴任してきた日系中小企業の責任者です。経営状況はあまり良くありません。

タイで働く苦労や衝撃体験などを紹介できれば幸いです

タイで優秀な人材を確保する泥臭い戦略

皆さん、サワディークラップ!タイの片隅で中小企業のMDをやっているタカです。今日のテーマは、タイでの人材採用。特に「現地採用」について、僕が血と汗と、たまに涙を流しながら(嘘泣きも含む)、多少は培ってきた泥臭い経験を語らせてもらいます。

タイでの採用、甘くない現実

日本から「グローバル人材を活用しろ!」なんて号令がかかって、意気揚々とタイに乗り込んできたものの、現実はそんなに甘くない。履歴書は立派でも、面接で英語語がペラペラでも、いざ仕事が始まると「あれ?」って思うこと、しょっちゅうです。

例えば、以前採用した優秀そうなタイ人エンジニア。英語語も堪能で、前職での実績も申し分なし。面接では「御社のために全力を尽くします!」なんて熱い言葉も飛び出して、期待に胸を膨らませて採用したんです。ところがどっこい。入社して3ヶ月後、突然「実は実家の農家を継ぐことになりました!」って……え?エンジニアはどこへ行った?トラクターでも乗りこなすのかい?

まあ、これは極端な例かもしれませんが、日本とは文化も価値観も違うタイでの採用は、本当に予測不能なことばかり。日本の常識は通用しない、ということを嫌というほど思い知らされました。

語学力だけで判断しちゃダメ、絶対!

タイで人材を探すとき、多くの日系企業がまず重視するのが「日本語能力」または「英語能力」かもしれません。もちろん、コミュニケーションは重要ですが、語学力だけで判断するのは危険です。日本語や英語が上手なだけで、仕事ができるとは限りませんからね。

僕の会社にも、英語は流暢だけど、指示されたことしかやらない、言われたことと違うことを平気でやる、なんていうスタッフもいました(過去形にしておきましょう)。彼らはある意味「優秀な通訳」かもしれませんが、僕らが求めているのは、自分で考え、行動し、会社の成長に貢献してくれる人材です。

そこで僕が実践しているのが、「語学力」だけでなく、「仕事への意欲」「問題解決能力」「チームワーク」といった、本質的な能力を見抜くための面接方法です。

例えば、過去の仕事で困難に直面した経験について、どのように考え、どのように行動し、そこから何を学んだのかを具体的に語ってもらいます。単なる成功体験だけでなく、失敗談の中にこそ、その人の本質が見え隠れするものですよ。

タイならではの採用ルートを開拓せよ!

日本のリクナビやマイナビみたいな、便利な採用プラットフォームはタイにもありますが、そこで出会える人材が、必ずしもウチの会社に合うとは限りません。特に中小企業の場合、大手のようなブランド力はありませんから、待ちの姿勢ではなかなか優秀な人材は集まってこないのが現実です。

そこで僕が始めたのが、「泥臭いリファラル採用」戦略です。

まず、既存のスタッフに「もし、ウチの会社で一緒に働きたい優秀な友達や知り合いがいたら、ぜひ紹介してほしい」と声をかけまくりました。もちろん、紹介してくれたスタッフにはインセンティブを支給。これが意外なほど効果があったんです。

なぜなら、ウチの会社のことをよく知っているスタッフが紹介してくれる人材は、会社の文化や雰囲気に合いやすいですし、何より「友達の紹介だから」という安心感があるのでしょう。それに、紹介された側も、どんな会社で、どんな人たちと働くのか事前に分かっているので、入社後のミスマッチも少ない。まさにWin-Winの関係です。

さらに、僕は積極的に「地元の大学との連携」も強化しています。工学部や経営学部の学生向けに会社説明会を開いたり、インターンシップを受け入れたり。若い世代にウチの会社のことを知ってもらい、将来の採用に繋げる狙いです。

大学との繋がりを深める中で、教授とのパイプ作りも欠かせません。優秀な学生を紹介してもらうだけでなく、共同研究などの機会を通じて、大学との信頼関係を築くことが重要だと感じています。

給与だけじゃない!魅力的な「働く環境」をアピール

タイでの採用において、給与は重要な要素の一つですが、それだけが全てではありません。特に優秀な人材は、給与だけでなく、「やりがいのある仕事」「成長できる機会」「良好な人間関係」といった、総合的な「働く環境」を重視する傾向があります。

そこで僕が力を入れているのが、「社員のエンゲージメント向上」です。

年に1回の社員旅行や定期的な懇親会はもちろんのこと、社員一人ひとりのキャリアパスを一緒に考えたり、スキルアップのための研修制度を充実させたり。小さなことかもしれませんが、「この会社で働けて良かった」と思ってもらえるような、温かい職場環境づくりを心掛けています。

ある時、社員に「うちの会社の良いところは何?」と聞いてみたんです。そしたら、「みんな仲が良いところ!」「困った時に助け合えるところ!」「社長がいつも気にかけてくれるところ!」なんて、嬉しい言葉が返ってきて、涙腺が緩みそうになりましたよ(また嘘泣き)。

給与だけでは引きつけられない、会社の「魅力」を磨き上げることこそ、優秀な人材を確保するための最強の戦略だと確信しています。

文化の違いを理解し、受け入れる

タイで現地採用を進める上で、最も重要なのは、タイの文化や習慣を理解し、尊重することです。

例えば、タイ人は家族を大切にする傾向が強く、家族の事情で急に休んだり、早退したりすることも少なくありません。日本的な「仕事優先」の価値観を押し付けるのではなく、彼らの価値観を理解し、柔軟に対応することが大切です。

また、タイは「メンツ」を重んじる社会です。人前で厳しく叱責したり、頭ごなしに否定したりすると、彼らのプライドを傷つけ、モチベーションを大きく下げてしまいます。注意や指導をする場合でも、相手の気持ちに配慮し、丁寧な言葉遣いを心がけるようにしています。

文化の違いを受け入れ、尊重することで、初めて信頼関係が築け、優秀な人材が定着してくれるのだと、僕は身をもって学びました。

現地採用は「宝探し」、根気と愛情が鍵

タイでの現地採用は、まさに「宝探し」のようなものです。簡単には見つからないけれど、根気強く探し続け、見つけた「宝」を大切に育てていく。それこそが、タイで事業を成功させるための重要な鍵だと僕は思います。

語学力だけで判断せず、本質的な能力を見抜く。泥臭いリファラル採用や大学連携を積極的に行う。給与だけでなく、魅力的な「働く環境」を提供する。そして、タイの文化を理解し、尊重する。

これらの泥臭い戦略を実践することで、僕の会社にも少しずつですが、優秀なタイ人スタッフが集まってきてくれるようになりました。彼らの成長が、会社の成長に繋がっていることを実感する毎日です。

これからも僕は、タイの地で、優秀な人材という「宝」を探し続け、彼らと共に「生産性の壁」を乗り越え、会社のV字回復を目指して、泥臭く奮闘していく所存です!

それでは、また次回の「泥沼奮闘記」でお会いしましょう!サワディークラップ!