タイに形成された日本人コミュニティの過去と現在と将来

タイで形成される日本人社会

タイのバンコクでは、多くの日本人が駐在員や現地採用社員として働いています。そのため、多くの日本人社会がタイの各地域で形成されるようになりました。日本人社会の形成にともない、日本人同士で何らかの活動を共にする日本人コミュニティがあり、長年の間続いています。

タイにおける日本食料理屋の店舗数はとても多いと思いますが、その背景としては大きな日本人社会(コミュニティ)がが影響しているといえます。というのも日本食の料理店にとっては、タイに滞在する多くの日本人が一番のターゲット顧客になっているからです。今でこそ顧客ターゲットは中間層以上のタイ人も含まれるようになっていますが、まだまだ日本人の多く住む地域における日本食料理屋の出店数は増えていくでしょう。

実際に昼食時や夕食時に日本食の料理屋や居酒屋に入れば、本当に多くの日本人グループが食事をしたり、飲み会をしたり、接待したりする光景を目にすることできます。特に夜のお酒を飲む接待は、ビジネス交流の1つとしてコミュニティを形成する土台にもなると思います。

たしかにタイで生活する日本人は多いのですが、最近では、日本人が作るコミュニティの小規模化も見られるようです。

タイの日本人コミュニティ

タイにおける日本人社会の大きな役割を担ってきていたのが、タイ国日本人会の存在です。私自身は日本人会に所属していないので、具体的な活動内容は知りませんが、会費 200 THB/月で会員になれるそうです。

過去には、9,500人の会員数がいたそうですが、年々会員数は減少しているそうです。

在タイ日本人をまとめてきた日本人会が、ここ数年は会員数が減少してきているというのである。2003年ころは9千500人程度に達した会員数は、今や8千500人に減少し頭打ちとなっている。

引用元)岐路に立つタイ日本人社会 / NNA.ASIA (※引用元のページが削除されています)

2012年12月25日現在では、7,741名(参照元:バンコクスマートページ)まで減少したそうですが、2017年2月末時点では約7,200 名と緩やかに減少しています。

在留届を提出している日本人は、2016年の調査で70,337人いました(タイのバンコクは在住日本人にとって既に食生活に困らない国)。毎年、タイに滞在する日本人の数は増えているにも関わらず、タイ国日本人会に所属する人数が増えていないのは興味深いところです。加入率に至っては、かなり下がっていることがわかります。

タイに在住する日本人にとってもは、日本人コミュニティの多様化が進み、タイ国日本人会に入会する人が少なくなっているのかと思います。恐らく入会している方も、基本的には駐在員としてタイに滞在する方が、企業会員となっているのではと考えます。

タイにおける日本人コミュニティの多様化について

私自身がタイ国日本人会に加入しない理由は以下です。

  • タイ国日本人会の存在を知らなかったため
  • 周りでタイ国日本人会への入会をすすめる人がいないため
  • インターネットの普及で情報収集に困っていないため

恐らく私の予想では、企業会員でもなければ日本人会に入ることはないのかと思います。一方で、周りで入会を誘うような方がいない、または少なくなってきているというのも事実です。

ですが、私だけでなく多くのタイ在住者が感じているのは、日本人会のようなコミュニティに所属しなくても、情報を入手することが容易であるため、生活において不便さを感じていないことが、日本人会に入会しない理由だと思います。

もちろん情報を容易に入手できるようになったのは、インターネットの普及と、スマートフォンでいつでもどこでも情報を検索できるようになったことが理由です。

今後のタイにおける日本人社会とは、小さな規模でのコミュニティの数がより増えていくのではないかと思います。例えば Facebook のようなSNS などを通じたコミュニティなども既に形成されていますし、今後も様々な形で広がっていくでしょう。

日本人のタイ在住者が これから 10万人以上に増えていけば、それだけコミュニティも複雑化・多様化していくのは当然かと思います。

ビジネスにおける日本人社会は小さい

タイには数万人も日本人の滞在者がいますが、ことビジネスになると日本人社会はほんとうに狭いと感じます。逆に言えば、日本では簡単にコンタクトを取れないような方でも、タイでは既存の知り合いを伝っていけば、簡単にアプローチできたりもします。

逆に言えば、タイで悪いことをすれば、簡単に日本人のビジネス業界の中で悪い噂や評判も広がってしまうのは事実だと思います。

せっかくタイにいるので、日本人とのコミュニティ形成も大事ですが、タイ人や他国の人々とコミュニティを創り上げることも私は大事だと思います。特にタイのことはタイ人でなければわからないことも多いですので、いざとなったときに助けてくれるタイ人のサポートは大変心強いですから。