海外駐在員時代の思い出から抜け出せない残念なタクシー運転手

海外駐在員時代の高待遇は一時の夢

海外に駐在員として赴任すると、日本では考えられない待遇で働けるため、海外駐在員というポジションの思い出から抜け出せない人が多くいると思います。

タイでは、美味しい料理が食べられるレストランがたくさんあり、治安も比較的安全、ナイトスポットも充実しているなど、色々と生活の環境的に良いことから、タイで生活することを気に入る方が多くいます。

そのようなタイで駐在員になると、色々と待遇面でよい思いも出来たりします。例えば次のような待遇が待っています。

  • 日本より役職や決裁権限が増える
  • 人事権をもてる
  • 海外就労手当てを日本の給与以外で得られる
  • 運転手付きの社有車で通勤できる
  • 会社負担で、都心の高級マンションに住める

駐在員として働くと、多くの方が日本にいたときより生活水準が上がると思います。そのため、それが自分の実力と見誤ってしまうこともあると思います。

元タイ駐在員の駐在員時代の思い出

私が日本にいたときに、とあるタイ料理店で元駐在員としてタイの広告代理店で働いていた経験がある方と知り合いました。

その方は、タイでの駐在員時代の自分の待遇を次のように説明してくれたのですが、確かに凄い待遇だと思いました。

  • 夫婦2人でタイに駐在
  • 月25万円の都心の高級マンションで生活(会社が費用負担)
  • 通勤や日常生活の移動は、運転手付きの社有車
  • 日本の給与に加え、タイでの生活手当て約30万円を受ける
  • 年2回の日本帰国を会社が費用負担
  • 自分の好きなように接待費用を使える(夫妻での外食も経費で精算)
  • 週末は会社経費でゴルフ

かなり何十年も前の話だとは思いますが、そのような時代もあったのでしょうか。今では大手一流企業の役員クラスなどでなければ、この程度の手当てを受けることは可能なのかもしれないと思います。

元タイ駐在員の日本でのその後

その元駐在員としてタイで働いていた方ですが、現在は日本でタクシー運転手として働いているそうです。彼曰く「チャンスを得られたときに、いつでもタイに行けるように、タクシー運転手をしながら待機している。」と仰っていました。

タイ時代の話を聞けば、華やかな生活をされていたそうで、その時は良かったのかもしれません。ですが、景気低迷などを理由にタイの現地法人の業績が悪化したため、結果的に会社を退職することになったそうです。

そのタクシー運転手の方は、今でもタイ時代の思いが忘れられず、いつかはタイに戻り、以前と同様の生活を手に入れたいと考えているそうです。

彼には、今後どのようなチャンスが待っているのかはわかりませんし、チャンスは訪れないとも言い切れません。けれど、タクシー運転手として日本で既に10年くらい働いており、現在は既に50代になっている方に、駐在員のような高待遇のチャンスが巡ってくる可能性は高いのでしょうか...。

駐在員は待遇が高いが苦労も多い

駐在員は、その待遇ばかりが注目されてしまいますが、異国の地で生活をすることはたいへんなことだと思います。タイは比較的めぐまれていると思いますが、タイ以外の国では、まだまだ不便な国も多くあると思います。ですが、なぜかタイ駐在員は、華やかな暮らしにばかり注目が集まっているのは事実だと思います。

一方で、会社として成果を挙げるために努力している駐在員の方が多くいらっしゃると思います。また多くの駐在員の方が、辛い環境で毎日耐え忍んでいるのかもしれません。

たしかに、駐在員になって高待遇を得ることで、現地ローカルスタッフを見下したりと、勘違いする人もいたりするのは残念です。

数年でも会社の仕事でタイで駐在員になれるのは、私見としてはラッキーなことだと思います。特に海外での経験を会社の費用で得られることは、人生においてとても大きいと思います。