全体朝礼時にサービス残業強要を宣言した老害役員

サービス残業は悪しき日本の文化

日本では就業開始時間についての管理は非常に厳しく、遅刻することは認めないにも関わらず、終業時間を過ぎてもサービス残業する社員に対しては何も言いません。むしろ、サービス残業で頑張るビジネスは美しい・素晴らしいと賞賛するような文化もあるぐらいです。

日本で働いていた職場では残業手当はありませんでした。ただし月額数万円の「みなし残業」というシステムがあり、例外部署はあるものの、オフィスで働く事務系の社員全員に対して残業手当の変わりとして支給していました。

会社としては「みなし残業手当」を支払っているんので、残業する社員がいても問題ないという立場に立っていました。

この「みなし残業手当」があるだけ良いのですが、世間では残業代は一切支払わないサービス残業を強いるような会社も未だに多く残っていると思います。

サービス残業は、労働基準法に違反するだけでなく、社員の健康面などにも悪い影響を与えると考えます。このような悪しき日本の文化「サービス残業」は決して受け入れるべきではないと思います。

ただ、サービス残業を受け入れる会社の背景には色々な理由があるのかと思いますが、それは何なのでしょうか。

社員がサービス残業を善しとする

先日、2017年は電通の社員の方が、過労を理由に自殺されたというニュースが世間に轟きました。この手の話はいつまでもたってもなくなりませんよね。

政府も働き方改革などを推進していますが、実態については各企業の内部情報なので公になることは難しいです。内部告発などがどんどん起こればよいのですが、働いている社員からすれば、簡単に告発に踏み切れない状況にあるのかもしれませんし。

確かに会社の業績を上げるためや、自身のキャリアアップのために必死になって働いている人も多いと思います。ですが、それなりの対価がないのであれば誰もサービス残業をしようと思うことはないでしょう。

少なくとも全ての社員が自発的にサービス残業を求めているとは到底考えられません。サービス残業が日常的にまかり通るような企業では、上司や役員、社長からの圧力が激しいのかなとも感じたりします。

サービス残業強制を宣言した役員

私が日本で就業していた会社での話です。その会社では、毎月の第1月曜日は、社員全員が参加する全体朝礼がありました。この全体朝礼では役員が持ち回りで、20分程度のスピーチをすることになっていました。

ある朝礼での担当が、工場長だったときのことです。

皆さんは、工場での5Sをご存知でしょうか?

5S とは「整理・整頓・清掃・清潔・躾」のことを言います。

私は工場で社長と言う立場で仕事をしていますので、工場の施設を見て回り、この5Sが徹底できているか確認しています。

残念ながら、先日オフィスの周りを確認したとき、清掃が徹底されていないことに気づきました。

そこで、これから毎日、就業時間の後に各社員たちは自分の持ち場の周りを掃除してから帰宅するように指示します。

この件については、総務責任者から労働基準法に違反していると指摘があったのですが、まったく持って馬鹿げています。たった5分~10分程度の清掃をお願いしているだけなのに、何が労働基準法に違反しているだ!

まったく理解できない発言に、私はたいへん残念な思いをしました。皆さんも、そう思いませんか?

以上のようなスピーチだったのですが、工場長である老害役員が、労働基準法を堂々と「違反します」、と朝礼で宣言したのには驚きでした。

朝礼に参加していたのは、工場以外で勤務する社員も大勢いたのですが、役員の突拍子もない発言に、皆あきれていました。

特に工場で働く社員の方々は、雇用条件に示された労働時間内での作業が徹底されるべきであり、超過する時簡については、残業手当が付くのが当然と思います。みなし残業手当などもありません。

老害役員の暴走はその後も止まることはなかったようですし、損をしたのはまっとうな主張をした総務責任者であり、彼の評価はその後たいへん下がったそうです。

タイでも労働条件は遵守が当然です

タイでは就労時間を越えた場合には、厳密に時間外労働手当てを支給する必要があります。また、休日に出勤させるなら休日出勤手当ても定められて条件で支給する必要があります。

このような条件はタイ人従業員に対しては徹底して守られていると思います。一方で、タイの日系企業で働く日本人の方々は、サービス残業している方も多いかもしれません。

タイ人は基本的に残業手当が付く場合なら喜んで残業する思いますが、手当が出ないのに残業するような人はいません。定時になれば、ササッと帰宅していきます。

また、会社が不当にサービス残業を強いるようであれば、タイ人の方々は当局に違反を申告するのでは、と思います。

日本人も、タイ人を見習って、就業開始時間だけえなく就業終了時間もきっちりと守って仕事するような姿勢は見習ったほうがよいですよね。

タイでも残業なしに仕事が進まない

タイで働く日本人は、ワークパーミット上では管理職(マネジャー以上)の条件で雇用されているで、なかなか残業手当が時間通りにつくことはないと思います。

ただ、私の知るいくつかの会社では、組織内の役職としてマネジャー未満の人には残業代を全額支払っています。これが出来て当たり前なのですが、見習わないといけない会社は多いと思います。

けれどサービス残業しなかったら業務が回らないのは、私だけではないはずです・・・。