タイを含めた東南アジアは人材確保が困難
タイを含めて東南アジアでは現在、優秀な人材を獲得するために各企業がリクルート活動に注力しています。当然ながら、優秀な社員が退職しないように待遇を改善していき、会社に繋ぎ止めるための努力も並行して行っています。
タイでは業績に連動して評価を決める人事考課制度を導入する企業が多数あります。正に欧米のように、優秀な社員には高い給与を提示していくことで、社員のモチベーションを高めていることは珍しくありません。最近では、日本人の現地採用の方々だけでなく、駐在員として日本から出向されている方々より高い給与をもらっているタイ人も多く見かけるようになりました。
これまでは安い賃金で雇用できることがタイの強みであったことは確かですが、これからは東南アジアのビジネスの中心地の1つ、あるいはハブとしての役割も大きくなってきています。
タイ現地企業だけでなく、欧米企業や日系企業も優秀な社員を雇用することで、タイから諸外国へのビジネスを拡大させていきたいと考えています。そのため、今後も益々、優秀な人材の獲得競争が続くといえます。
高い給与で優秀な人材を採用
最近ではマネジャー以上のクラスに対して、10万バーツ以上の給与を提示する企業が多くなっています。特に業界や部門での経験が豊富で、即戦力として会社の売上や成長に貢献できるような人物に限られますが。
高待遇の求人案件の場合、給与は10~30万バーツぐらいは当たり前のように目にします。更に上のクラスに行くと、当然ながら給与は青天井になります。例えば、現在のLINE株式会社のタイ現地法人の社長には、元Googleタイ支社長の方が就任されています。いったい彼はどれぐらいの給与や条件でスカウトされたのでしょうか?
一方で日本人の現地採用の場合、日系企業からの求人を見ていると、5~7万バーツ程度の給与で人材を募集している会社が非常に多いと思います。例外もありますが、タイにおける日本人が就労するための条件として、日本人の最低賃金は5万バーツ以上なければワークパーミットを取得することができません。そのため、現地採用の場合には5万バーツで頑張って働いている方々も多くいます。
求人情報を見ていると、おおむね35歳ぐらいまでの募集が多く、業界未経験でも応募可能という案件も目立ちます。日本の転職事情からすれば、ずいぶんと条件の緩い内容ですが、そのかわりに給与が低く抑えられているのは致し方ありません。
高待遇の条件で働くタイ人の事例
ここでは、私の周りにいるタイ人を例にして、高収入や高待遇で頑張っている事例を2つ紹介します。
1.役員待遇で働く40歳の営業マン
タイ現地企業で働くAさんの会社は、年間の売上高は約60億円。この会社は、グループ会社を併せると5社を有し、経営状況はたいへん優良です。
このグループ会社の1つを約6年前に立ち上げるメンバーとして選ばれたA氏は、立ち上げから約3年後に、子会社の株主となるとともに、役員に迎えられています。年齢は現在40歳ですが、主担当は営業です。
もともと順調に伸びてきていた事業を親会社から独立させ(スピンアウト)、この子会社の主要事業としたのですが、3年目の売上は約3億円。社員数は5名体制でした。その中で、A氏は顧客との強いパイプを有する優秀な営業担当であり、会社の売上に貢献する立場です。
この彼は、子会社立ち上げから4年目にインセンティブとして、TOYOTA CAMRY(トヨタカムリ)を会社から支給されていました。このCAMRYを5年間は社有車として通勤と営業、プライベートに利用してよいそうです。更に5年たったのちは、今のCAMRYはなんと彼のものになるそうです。更に会社からは、新しい役員車が支給されるとのこと。
2.プライベートでマンションとベンツを購入した営業マン
日系企業のグループ会社で働くB氏は、営業マネジャーとして頑張る43歳。彼の強みは日本語が堪能であり、日本での就労経験が長く、日本の文化やビジネスマナーに長けているところでした。当然ながら、営業職としての役割もしっかりこなします。
彼は現在43歳ですが、年収700万円程度とのこと。既に1,200万円のマンションを都内に購入しており、中古車ではありますが、約500万円で購入したベンツに乗っています。
彼の会社は日系企業が母体なのですが、タイでは完全に現地化されており、業績の評価方法も正に欧米式とのことです。
売上目標を200%達成したら、基本給の12ヶ月分がボーナスとして支給されるそうです。ちなみに彼は、既に何度か達成した経験があるとのこと。
彼が就労する企業は今も右肩上がりに業績を伸ばしているので、彼の給与や待遇も右肩上がりに今後伸びていく可能性は十分にあります。行く末は現地法人の社長または役員になれるのかもしれません。
タイには日本よりもチャンスが多いのでは
タイでの生活は、お金だけでは得られないものが多くあります。一方で、美味しいものを食べたり、都内の便利な場所にコンドミニアムを借りたり、週末はバンコクの街中で遊んだりするならば、収入は非常に大事な生活要素の1つです。
タイでは人材において売り手市場の状況です。そのため、日本と同程度あるいはそれ以上の条件で就労することも現実的に不可能ではありません。
一見すると、日本より採用条件が悪いようにも思えますが、自分で成功を掴み取ることを実現できれば、とんでもない条件に昇格・昇進することもチャンスとしては十分にありえます。
結局はタイでも頑張って結果を出さなければ、報酬などもも付いてこないのは事実です。
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