病気時の休暇届「Sick Leave」のおかげで年次有給休暇は余暇に活用

病気で会社を休みづらい日本の労働環境

私が日本で就業していた会社は、体調不良や風邪を引いた時には、年次有給休暇を取得して養生できるような環境だったため、普通の労働環境だったと思います。

ネットで見る限り、病気で会社を休むのは言語道断のような考え方の会社もあるようですし、たまにネタなのか、インフルエンザでも出社を強要するような会社があるそうです。真偽はともかく、まだまだ日本の会社の中には、病気で会社を休むことでマイナスに評価されるブラックな環境が多く存在すると思います。

また、仮に病気で会社を休んだとしても、年次有給休暇として扱われるため、年間の数少ない年次有給休暇が減ってしまい、余暇や私用などに使える日数が減ってしまうのは、たいへん損をした気分になると思います。

例えばインフルエンザに感染した場合は会社に出社してはいけません。更に1週間は療養しなければならないので、5営業日も会社を休む可能性があります。そうなると、5日間も病気で年次有給休暇を使ってしまうため、残りの年次有給休暇は慎重に使わなければ、と考えてしまいます。

最近の日本の企業の中には、年次有給休暇の消化日数を総務部門がチェックし、全日数を消化できるように社内に呼びかけるようにしているなど、良い面も見えてきています。一方で日本はシンガポールなどと比べて祝祭日がたいへん多いくあります。そのため、年次有給休暇が取り難い反面、休業日が多いのはまだ救いかもしれません。

余暇のために年次有給休暇を取れない状況

インフルエンザの場合には、長期療養のために休む必要があるといいました。つまり、病気になることを考えて、普段は年次有給休暇を取らない方が良い、という考え方が日本の職場環境では生まれてしまいます。

以前、後輩が上司に年次有給休暇を申請したのですが、意味のわからない理由で受け付けてもらえない、という場面を目にしました。

後輩「今週の水曜日に有給休暇を取得させて下さい。」

上司「親戚の法事か何か、用事でもあるの?」

後輩「いえ、特に用事はないのですが、家でリフレッシュのために・・・。」

上司「先月と先々月も有給休暇を取得してるけど、いざという時のために、取得は控えなさい。」

後輩「・・・・・・・・」ショボン

この後輩は、仕事はきちんとやるけれど、プライベートも充実させたいという考えを持っていました。彼は業務に支障が出ないのであれば、自由に年次有給休暇は取得しても良いじゃないか、という考えを持っていたので休暇申請をしたのですが、結果的には駄目だったという訳です。

彼は毎月1回、水曜日に年次有給休暇を取得して、その日は一日中、大好きなゲームをやるために使いたかったそうです。土日は彼女がいるので、ゲームに没頭する訳にはいかないとも言っていました。

上司が言う「いざという時」も理解できるのですが、年次有給休暇を余暇のために気軽に取得できない日本の勤怠管理システムは、残念だと思います。

また別の話ですが、年次有給休暇をほとんど使い切った同僚が、足を複雑骨折してしまい長期入院を余儀なくされたこともありました。彼は入院期間中に無給休暇を取得したため、もちろん人事考課に影響があったようです・・・。

海外には Sick Leave という休暇制度がある

海外では就業規則に、「シック・リーブ(Sick Leave)」という理由で休暇届申請ができます。正に、病気や体調不良で会社を休む際に申請する休暇届です。しかも、有給休暇扱いとなるのが、たいへんありがたいです。

この Sick Leave は、企業の社規定にもよりますが、年間で30日取得できます。連続して3日以上取得する場合には、病院で診断書を作ってもらい会社に提出するだけです。

仮に不幸にも病気で入院する場合や、インフルエンザで1週間休む場合でも、Sick Leave を取得し、気兼ねなく療養することが可能です。

一方で、プライベートのために取得できる休暇は「アンニュアル・リーブ(Annual Leave)」と言い、余暇のためにいつでも取得できる休暇届があります。これが年次有給休暇のことであり、タイでは年間で7日~14日間くらいは付与されると思います。

海外では、病気と余暇を切り分けて休暇を取得できるので、思う存分に Annual Leave でプライベートを楽しむことができようになっています。

Sick Leave は従業員を信頼した規定

実際のところ、病気でもないのに Sick Leave で会社を休む人は多々います。しかし制度として存在する以上、会社としては従業員を信用して容認するしかありません。

逆に Sick Leave になった場合でも業務を支障なく進められるような体制や仕組みを普段から作っておくことが大切になります。

一方で、1年間を通して、1度も Sick Leave を使用しなかった社員に対しては、インセンティブとしてボーナス(約1ヶ月分)を支給する会社も多くあります。給与の安いスタッフであれば、1ヶ月分のボーナスが支払われることは大きな収入源になるため、Sick Leave を取らないよう頑張ろうと思うわけですから、モチベーションに繋がると思います。

私も海外に出てきてから何度も病気になっていますが、この Sick Leave のおかげで、安心して休むことが出来ます。

タイでは、毎日だれかが Sick Leave で休んでいるのは言うまでもありませんが、そのせいで休暇取得者を毎日社内で業務連絡することが欠かせません。

Sick Leave以外の休暇届

役立つ休暇届には、もう1つ「ビジネス・リーブ(Business Leave)」があります。

この Business Leave は、官公庁に関連するような用件がある場合に取得できる有給休暇です。例えば、大使館に在留届を提出する場合や、車の免許の取得や更新のために陸運局に行く場合などに取得できます。

このように、Sick Leave や Business Leave があれば、思う存分 Annual Leave(年次有給休暇)をエンジョイすることが出来ます。

1ヶ月以上の長期休暇は取得不可

長期休暇といえば、大学時代が懐かしいです。夏休みと春休みは、それぞれ2ヶ月ぐらい授業がなかったので、海外旅行などに長期で行くことができました。

欧米の企業などでは、数週間から1ヶ月の長期休暇を取得できたりするそうなので、大変羨ましいです。逆に長期で休んでも業務に支障が出ないような社内の仕組みづくりは、見習うべきことです。

ということで、学生の方々は、社会人になれば1ヶ月以上の長期休暇を取得することは容易ではないので、学生のうちに楽しんで頂きたいと思います。

私も1ヶ月ぐらい休みを取れたら、インドで堕落しきった生活を満喫したいです・・・。