給与3万バーツ程度のコールセンターで働く日本人とは

タイにおける日本人の最低月額給与

タイにおける日本人の最低賃金は、50,000バーツ/月と定められています。例えば就職する際に、過去に職歴のないような新卒入社の場合や、スキルや語学力がない場合、月給50,000バーツを一般的には提示されると思います。

この最低賃金50,000バーツ/月は、タイ政府によって定められているので、基準に満たない場合にはワークパーミット(労働許可証)を発行してもらえず、タイでは働くことができません。しかし、タイでも当然ながら例外はあり、50,000バーツ/月未満の月給で働く日本人も多くいます。

この例外とは、タイ投資委員会(BOI: The Board of Investment of Thailan)の外資優遇制度を取得した事業においては、企業は50,000バーツ/月未満の賃金でも日本人を採用し、労働許可証の取得が可能となっています。

タイでは近年、日本人の採用も困難になってきているため一般的な営業職や事務職では 50,000バーツ/月の給与を提示するような企業は少なくなってきています。ところが、タイでは、未だに50,000バーツ/月未満での職種があります。それは、コールセンターで勤務する電話オペレーターです。

断っておきますが、違法就労させているわけではなく、タイの法律に遵守した正規の仕事です。

コールセンターの電話オペレーターとは

日本人の最低賃金50,000バーツ/月未満の給与で採用を続ける電話オペレーターとは、簡単に言えば電話応対を業務とする職業です。例えば、次のような電話応対が業務内容の一例としてあります。

  • TV通販やECサイトの注文受付や発注対応
  • TV通販やECサイトのお客様からの商品についての問い合わせ対応
  • 関連商品をおすすめして販売
  • 商品についてのクレーム対応
  • 電話でのアポイントメント取得
  • 電話でのアンケート調査実施

勤務時間中は、ひっきりなしにお客からかかってくる電話に応対する必要があり、マニュアルに従って受け答えをする必要があります。業務時間の大半を、電話での応対に費やすため、喉や顎などが痛くなったりするそうです。また、クレーム対応などは、お客から暴言を吐かれるような事もあるため精神的にも辛いようです。

電話応対がない時間はデータ入力するなど、常に勤務時間中は何かしら忙しいのがコールセンターの業務です。

タイ大手コールセンター Transcosmos社

タイではコールセンターの電話オペレーターの求人が十年以上前から長らく続いています。そして、その求人募集時の給与も50,000バーツ/月未満のままとなっています。確かに給与は安いのですが、給与に見合った業務内容になっているのでしょう。

タイにコールセンター有する大手企業の1つに Transcosmos(トランスコスモス)社があります。Googleで「タイ コールセンター 求人」などと検索すれば、簡単に求人情報を見つけることができると思います。なぜ給与が安いと言われるのかは、以下の採用条件を見ればわかると思います。

  • 語学力不問
  • 経験不問
  • 学歴は高卒以上(満22歳以上)
  • 7:00~19:00の間で実動8時間のシフト制(160時間/月)
  • 週2~3日の休日

トランスコスモス社の電話オペレーターは、正社員ではなく契約社員扱いで採用されます。そのため時給200バーツの収入です。毎日8時間で1ヶ月に20日間働いた場合(160時間/月)、32,000バーツの月収となります。これが最低限の収入であり、出勤日を増やせば収入も増えるようです。

コールセンター企業入社後に理解すること

最近私が知り合った20代の男性が、コールセンターに勤務しているとの事で相談を受けました。彼は日本でもこれまで電話応対の仕事をしていたので、コールセンター勤務に何の違和感も持つことなく応募したそうです。彼曰く、「タイで遊びながら働くには、コールセンターが手っ取り早いかな」と考えたそうです。

実際に働き出してみると、旅行でタイに来ていた頃の思い出と違って、収入が少なすぎるためにどこにも遊びに行けないというのが現実のようです。現在の仕事の内容がどうのこうのというよりも、目先の給与が低すぎて、自分が思い描いていた満足な生活ができていないとのことです。ちなみに彼はトランスコスモスとは異なるコールセンターで勤務しています。

入社して2ヶ月ほど経過した現在、彼から受けた相談というのは、転職して給与アップを目指したいということでした。彼の周りでも、毎月日本人の新しい人が採用されるのですが、その代わりに、より良い給与を得られる職場に転職するために退職する人もたいへん多いそうです。

彼にはコールセンター関連以外での職歴がないのですが、まだ20代と若いため、転職活動をすれば、どこか良い給与の会社は他にも見つかると思います。ですが、待遇(残業時間や福利厚生など)については良くなるかどうかはわかりませんが。

月3万バーツの生活の実態

手取りで約3万バーツの給与の場合、どのようなタイ生活になるのかコールセンターで働く彼に教えてもらいました。以下が、毎月の主な支出となるそうです。以下とは別に、タイでの所得税が差し引かれています。

アパート家賃 5,000バーツ/月
1日3回屋台で食事 4,000バーツ/月
嗜好品(タバコなど) 6,000バーツ/月
生活用品 2,000バーツ/月
合計 17,600バーツ/月

彼曰く、上記の支出の他に、遊びにいったりする交際費を考えると、遊びにいってもお金の心配ばかりしているとのことだそうです。たしかに、3万バーツ程度の収入であれば、いざと言うときの貯金をするのも難しい状況ですよね。まして、彼のように遊びたくてタイに来ているのに、収入がないと大変辛いと思います。

現実的に数字にしてみると、30,000バーツなどはあっという間になくなってしまいます。そのため、よほどお金に執着しない生活をタイで出来るのでしたら問題ないですが、将来設計を行う上では、コールセンターで働き続けることはあまり現実的ではないと思います。

コールセンターは気軽に海外生活を経験したいという方にとっては、簡単に働くことができる仕事しかもしれませんし、待遇もしっかりしています。ただし、給与面ではかなり日本人の方にとっては辛いところがあるので、日本で言うパートタイムのような感覚で働くぐらいなら良いのかと思います。