2018年4月1日からタイ最低賃金引き上げ(308~330バーツ/日)

タイ最低賃金引き上げ2018年4月1日より

タイの中央賃金委員会が1月17日に、タイの全77都県の最低賃金を1日308~330バーツに引き上げることを決めたと発表しています。この賃金引上げは、2018年4月1日から施行されるため、多くの企業にとっては、今から給与調整や、予算の再検討が必要になってくる場合もあるのでたいへんだと思います。

私の会社は製造業では無いので、社内では最低賃金上昇の話は対しても盛り上がりませんが、客先に行った際には工場勤務のタイ人の方々から最低賃金上昇についての話をよく聞くことがあります。

引き上げ後の最低賃金一覧

308バーツ/日から330バーツ/日まで、各県によって最低賃金が異なっています。やはり工業団地が多くある県では、最低賃金も高い傾向があるようです。

最低賃金額 対象県
308バーツ パタニー、ヤラー、ナラティワート
310バーツ シンブリ、ナコンシータマラート、トラン、メーホンソン、ラムパン、ラムプン、チェンライ、スコータイ、カムペンペット、ピジット、ウタイタニ、シーサケート、ターク、チャイヤプム、アムナートジャルーン、プレー、ラチャブリ、ラノン、マハーサラカム、チュムポン、ノーンブラムプー、サトゥン
315バーツ ロイエット、プラジュアブキリカン、ナコンサワン、サケーオ、パタルン、ウタラディット、ウタイタニ、ナコンパノム、ブリラム、スリン、ペチャブリ、ピッサヌローク、ペチャブン、チャイナート、ルーイ、ヤソートン、パヤオ、ブンカン、ナーン、カンジャナブリ、アントン
318バーツ ジャンタブリ、サムットソンクラーム、サコンナコン、ムクダハン、ナコンナーヨク、カラシン、プラジンブリ
320バーツ ウボンラチャタニ、スパンブリ、サラブリ、アユタヤ、ノンカイ、ロッブリ、トラート、コンケン、ソンクラー、スラタニ、クラビ、チェンマイ、ナコンラチャシマ、パンガー
325バーツ バンコク、ナコンパトム、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン、サムットサコン、チャチュンサオ
330バーツ プーケット、チョンブリ、ラヨン

タイではこれまで何度も最低賃金の引き上げが行われてきました。2012年には首都圏の最低賃金が約40%上昇し、2013年に全国一律で日額300バーツ以上に引き上げられました。そして、2017年1月1日にも更に賃金引上げが実施されていました。

タイの2017年の賃上げ率

タイの盤谷日本人商工会議所(JCC)が2017年に「2017年賃金労務実態調査」を発表しており、2017年の日系企業の賃上げ率が明らかとなっています。2018年はこの最低賃金引き上げの影響がどの程度、企業全体の賃上げ率に影響するのでしょうか。

  • 製造業 : 4.5%
  • 非製造業: 5.0%

タイの企業では年に1回の昇給が行われることが多いと思います。昇給率は役職によって大きく異なるのですが、一般スタッフで成果を出している人なら最低 5.0% 以上の昇給を得ていることになります。管理職などは基本給が高いため、3% などに抑えられることも多いと思います。

タイでは役職が上がると、基本給が大きく上昇するような制度を採用している企業も多くいます。日本の企業の中には、役職が上がっても給料はそのまま据え置きというようなところもあるかと思います。

タイ人にとっては基本給があがるのは大きな意味を持つので、誰もが最低賃金引上げニュースを注視していました。あまりニュースを見ていないタイ人でも、この賃金引上げについては知っているぐらいですから。

工場運営を行う企業の資金繰りに影響

経営が上手く言っている大企業の工場であれば、すでに賃金引上げの可能性を事前に経営予算に盛り込んでいるので、今回の施行もたいした問題にならないと思います。一方で、中小企業の工場では、まだまだ最低賃金で雇っているスタッフが多くいるため、1人の賃金が数十バーツの上昇でも、工場全体で見れば大きな支出になってしまい、頭を悩ませる課題になるのでしょう。

一方でこの賃金引上げは、2018年4月1日から施行されるので、多くの企業では新年度からの対象ということになって対処しやすいこともあると思います。いずれにしても、多くの企業で影響度を調査し、対処するほか無いのが実情だと思います。既に過去の賃上げで社内ノウハウを持っている企業も多くあると思いますので、大きな混乱はタイ社会では起きないとは思います。

私個人としては、タイの賃金が上昇することでタイの物価もスライドして高くなっていくのは辛いところであります。まだまだタイは物価や賃金は上昇していくことは目に見えているので、10年以上先の将来的な生活環境の変化を見据えておく必要があると思います。