バンコクで働くスーパー駐在員に見習う仕事術とは

バンコクで働くスーパー駐在員

バンコクで公私共に仲良くしてもらっている、駐在員のおっちゃんに「源さん」と呼んでいる人がいます。源さんはあだ名なのですが、見た目の風貌から大工をやっていそうな出で立ちで現れたことがあり、それ以来、源さんと呼んでいます。

源さんの見た目はガテン系なのですが、仕事は非常にきめ細かく、かつ頼りがいがあるため、お客さんからの信頼も厚いおっちゃんです。

彼は既にタイでの仕事が10年以上になるそうですが、タイ語も英語も殆ど話せないという弱みもあります。ですが、源さんには愛されるキャラがあるため、日系の企業からガンガン仕事を受注してくるスーパー営業マンでもあります。

源さんは、お友達として付き合うだけが楽しいだけの方ではなく、仕事においても色々と尊敬できるところがあります。今回の記事では、源さんから学んだ、仕事に対して取り組む際の姿勢を少し紹介したいと思います。

大手企業の肩書きを持つ源さん

源さんの見た目は、ガテン系あるいは体育会系の風貌なので、一見すると工事現場でお勤めの職人さんなのかと初対面の方は絶対に感じるはずです。もちろんビジネス時の服装ではなく、プライベートで合ったときの服装を見ればですが。

一見すると大工のような源さんですが、彼から名刺を貰ったときに驚きました。彼の勤める会社は、従業員4,000人以上、売上高1,000億円以上の大手企業だったことです。確かに大手企業ですが、実はタイではまだまだ規模が小さい中小企業のようなものだから、と源さんは言いますが。

更にタイでのポジションは副社長。当然ながら、住まいはスクンビットの良いところにある高層マンションで、100平方メートルを超える豪華な部屋を1人で借りているとのこと。家賃も月額8万バーツ以上はするそうです。源さん曰くは、風呂に入るとき、寝るとき以外は、基本的に家にいないそうです。なんてもったいないと思います。

役職からすれば当然の住まいですが、ガテン系の源さんには、バンコクの中華街であるヤワラーにでも住んで欲しいところです。

源さんの尊敬できる3つ凄いところ

1.副社長なのに自分で運転

駐在員としてバンコクで働く日本人の方の殆どは、運転手付きの社用車を個人に与えられていると思います。通勤や客先への訪問、週末のゴルフなど、移動が必要な場合には運転手が行き先まで運んでくれるのが普通かと思います。

しかし、源さんは自分で車を運転します。週末のゴルフも自分で運転し、ゴルフ仲間を迎えに行ったりもするそうです。

運転するのは危なくないのかと思うのですが、源さん曰く、「タイ人運転手に、自分の命を預けるほうが怖い」とのことです。確かに自分で運転したほうが、自分の身を自分で守れる確立はたかいのかもしれません。

でも、お客さんとの打ち合わせの時に、駐車場に車を停めるのため、余計な時間がかかりすぎて、よく遅刻してしまうそうです。

2.完璧を追及する徹底した研究家

源さんは1つのことに対して集中するタイプで、常に最高かつ完璧を目指そうとする性格です。言い方を変えれば、凝り性とでも言いましょうか。

彼の趣味はゴルフ。タイに赴任してから始めたそうですが、今では嵌りに嵌って、毎週末は必ずゴルフに行っているそうです。

彼の家賃月額8万バーツ以上のマンションには、ゴルフクラブのセットが数セットあり、未使用のクラブも数十本ならんでいます。また、玄関もビジネスシューズよりゴルフシューズの方が多い始末。

彼のゴルフに対する熱心さは仕事にも活きているようで、お客さんとの商談でもゴルフクラブのお勧めの話や、練習方法などのアドバイスをすることで信頼を得ているそうです。そのため、常に最新の情報を入手しておく必要があり、仕事以上に忙しいそうです。

彼曰く、知り合いのゴルフ雑誌に寄稿しようか、と迷っているそうです。趣味がそのうち本業になりそうな勢いです・・・。

以前、源さんのオフィスに遊びに行ったとき、彼が汗だくになって出てきました。客先を走り回っていたのかと思ったのですが、源さん曰く「気分転換に、部屋でゴルフの素振りをしていた」とのこと。気分転換に素振りしていたといっても、汗だくになるまで集中して練習する姿勢に閉口しました・・・。

そんな源さんですが、次の日に朝からゴルフだというのに、2時~3時ぐらいまで飲みに付き合ってくれるほど懐が深いです。単に酒飲みなだけかもしれませんが。

更に凄いのは、源さんはゴルフ前日にどれだけ飲んだとしても、今まで一度もゴルフには遅刻したことがないそうです。

3.他社商品もガンガン販売する営業力

源さんの仕事は、自社製品を販売して売上を伸ばしていくことなのですが、彼の売る商品の30%~40%ぐらいは他社商品だそうです。いわゆる販売元から仲介料を取る商社のようなビジネスを、彼が個人的に行っているだけです。決して彼の会社がこの商流を後押ししているわけではなく、源さんだから売れるそうです。

というのも、お客さんが購入したいと思っているものを上手く聞き出し、要望にあう商品を何でも仕入れてくるそうです。そのため、お客さんに提案すれば殆どの場合、契約が成立するとのことです。

やはり源さんのお客さんとの関係作りがめちゃくちゃ上手いため、お客さんの懐に入り込んでしまっているそうです。そのため、お客さんも源さんに何でもお願いしてしまうようです。傍から見たら、源さんはお客さんの秘書かと疑うような感じです。

あまりにもお客さんとの関係が濃密なため、お客さんのスキャンダルようなネタも源さんは色々と持っています。酒の席で色々とそのようなネタを紹介してくれたりするのですが、タイの日系企業の裏ニュースという雑誌にしたら売れそうな話ばかりです。

タイで働く日本人にもいろいろ

タイで働く場合には、日本から出向してきた駐在員と、現地で雇用されている現地採用者、そして起業された方の3パターンが主かと思います。それぞれで面白い方がいますが、当然ながら一癖も二癖もある人が多いと思います。

タイに来てせっかく知り合えた日本人の方とは、今後とも末永くお付き合いしたいと思っています。それに、私がこれまで知り合ってきた人は源さんのように超個性的な方ばかりで、私にとっての人生の宝の1つにもなっています。

日本にいたら知り合えないような方でも、タイでは知り合えるチャンスが色々とあると思います。これも海外で働く魅力の1つかもしれません。

ですが、一癖や二癖もあるような人と最初であったときには、この人大丈夫かと思ったりもし、敬遠しがちです。ですが、思い切って相手の懐に飛び込んでみると、案外と面白いということもあるかと思います。