マネジャークラスの管理職を降格できない日系企業の現実とは

年功序列でマネジャーになれる人事制度

日本でも未だに年功序列で管理職に昇格する人事制度をもつ会社が多いと思います。特に大手企業や公務員に当てはまりやすいことなのかと思います。

年功序列制度は確かに経験を積んだ人が管理職に相応しい、という1つの物差しで考えれば、とても合理的な判断基準だと思います。ところが弊害として、ただ年齢を重ねているだけで、仕事が出来ない管理職を増やしてしまうことも、負の側面としてあるのかと思います。

どちらが正しいのかはわかりませんが、ある程度の役職までは年齢によって就任できることも1つの制度として、受け入れてよいのかもしれません。

過去に聞いた自衛隊の話では、防衛大学校を卒業した場合には、卒業後は幹部候補生として養成され、一佐(昔の階級で言う大佐)までは年功序列で昇格できるそうです。ただし、それ以上の上位職については本当の実力主義の世界だそうです。

人事制度は、会社の規模によっても適用できる条件か/できない条件かが決まってしまうため、簡単に一纏めで判断できないこともあります。

ただ、今後は能力が無ければ、管理職以上に就くことが難しい社会になると思います。

管理職を降格できる人事制度の実際

皆さんの中にも、管理職を降格できるような人事制度を作りたいと考えている人はいると思います。確かに、無能な管理職を降格すれば、会社としてはより優秀な社員が管理職となり、結果として会社の業績向上に繋がると考えられます。

一方で、管理職の人を降格すれば、社内的に良くない考えが生じてしまうこともあります。例えば、降格された社員は社内で降格されたということで会社にいずらくなるかもしれません。あるいは、自分も降格されるのではないか、と社員が考えるようになり、経営者に対して不満を持つようになるかもしれません。確かに降格させられるルールは経営者にとって合理的なのかもしれませんが、会社組織として上手く機能するのかと言えば、必ずしもそうとは言えないかもしれません。

私個人もマネジャークラスの管理職に対しては降格できるような人事制度を設ける方が社内組織が活性化されて良いと思いますし、その制度によって若手に対するチャレンジの機会を増やすことができると思います。

仕組みとしてどのような制度が今の会社に最適なのか考えるのが、役員以上の役割なのかと思います。

管理職を降格させる日本企業の実例

私が知る会社の1つに、日本ではブラック企業として「2chねる」でもリストに挙がる会社があります。一方でその会社は、積極的に優秀な社員を管理職に昇格させ、ある程度の任期内で結果を出せなければ降格する人事制度を採用していました。ある程度の任期とはだいたいが1年ぐらいです。

毎月の人事からの通達で、管理職になった人の名前とその所属が社内全員に通知されると供に、降格された人事通達も同時に社内全員に通知されます。

実際に降格された人と話をしたわけではありませんが、結果が出せなかったことで降格されたので、降格に対して本人は納得しているということを耳にしたことがあります。当然ながら、管理職に昇格されるときには、条件についても人事から詳細な事前説明があるそうで、降格されることも1つの条件として当事者は了解するそうです。

結構良い感じの人事制度を有しているのに、この会社がブラック企業と言われているのは、降格されたような人や、昇格できない人が妬みで否定的な意見をネットで発言しているからかもしれません。

一方の事実として、ワンマンな経営者が人事裁量権を持つため、気に入らないマネジャーがいた場合には、経営者の一存で何でも決まってしまうこともあるそうです。そういう経営者に対する不満が多いため、その企業では退職率も高いそうです。

優秀な若手が活躍できる職場が理想

長年の会社に対する功労者に、その経歴に見合った待遇や報酬を用意することは悪いことではないと思います。例えば、スタッフレベルでは優秀でも、管理職には向いていない人もいたりするためです。

一方で、管理職は会社にとって各事業やプロジェクトを任せるための責任者であるため、必要不可欠な存在でもあると思います。

そのため、管理職については若手でも優秀な実績を出せると判断すれば、積極的に昇格できる人事制度が良いと、私は思っています。

当然ながら役職が高くなることで給与や待遇は必然的に高くなるのですが、優秀なスタッフに対してもそれなりに待遇を提示できるかどうかが重要です。スタッフレベルなら新しい人材を採用すれば問題ないなどと考えていると、その時は良くても、いつか人手不足になってしまい足元をすくわれる結果になるかもしれません。

タイで日本人は管理職になって当たり前

タイではワークパーミットの取得のために、日本人の役職は最低でもマネジャーという肩書きで申請する必要があります。社内での役割がスタッフであろうと、アシスタントマネジャーであろうと関係ありません。

なぜ日本人はタイではマネジャーでなければワークパーミットが取得できないかと言うと、タイ人より高い給与を平均的には支払うためです。タイ人の初任給が15,000バーツが相場と言われていますが、日本であれば最低給与は50,000バーツ払わなければ法律では採用してはいけないことになっています。

タイで日本人を採用する会社としては、将来的には管理職として雇用することを考え採用しているのかどうかはわかりませんが、形式上は日本人はマネジャー以上となっています。

ですが最近は、タイにおける人材の採用難から、管理職に向いていないような人が社員不足が理由でマネジャーに起用されていたりもします。もし、そのような会社で働くことになり、変なマネジャーが自分の上長になった場合、運が悪かったと思って1日でも早く自分が管理職になれることを目指すしかありません。