無駄に多いタイにおける大手日系企業の日本人駐在員

必要に応じた人材配置が必要

大手企業では、これまで日本からの出向で海外に赴任される駐在員の方々が多くいました。現状でも未だにたくさんの方々が働かれているとは思います。

しかし何故、たくさんの駐在員が必要なのでしょうか?その背景的な理由や目的は正しいのでしょうか?

大手企業での話に限るのかもしれませんが、タイに進出してから何十年という歴史を持つ会社があり、いまだに新規の重要ポストは日本からの出向者が占拠している事実があります。日本からの出向者とは、いわゆる駐在員のことです。

確かに日本から出向者を送ることは、日本との架け橋になる重要な存在ですし、日本での販売する商品を理解し、海外展開する重要な役割を担うと思います。例えば、新規に子会社を設立する場合には、日本からの出向者が絶対に必要だと思います。

ところが、何十年も海外で会社を運営しているにも関わらず、その海外企業における人事制度が何も変わらず、定期的に日本からの出向者が経営層や管理職のポジションを全て占拠するのは、本当に必要なことなのでしょうか?

日本からの出向者(駐在員)に必要な経費

日本から出向される方々が絶対に必要な場合があることは否定しませんが、現地人で代用できるのにも関わらず、日本人が出向してくるケースは色々と疑問点があります。

例えば、日本からは出向するというだけで、色々な経費を無駄に消費していることをあまり理解していない会社が多いのかもしれません。現地での人件費に対する支出がアホほど多いにも関わらず、当たり前のように考え、そして思考停止している状況です。

  • 住居手当として約20万円のマンションを駐在員に負担する会社
  • 会社の遠方にある一等地のマンションに駐在員が住居することを許可する会社
  • どこかの調査会社が報告する、海外の平均賃貸アパートの価格を鵜呑みにする会社
  • 電車通勤できる距離でも、運転手付きの車で駐在員を送迎する会社
  • 恵まれた環境の国でも、ハードシップ手当てを出す会社
  • 無意味な接待を繰り返す営業部門を許す経営体質
  • 駐在員の管理職が多すぎて、誰が意思決定者がわからなくなった大企業
  • 決定したことに責任を持たない駐在員

大手企業ということで言及していますが、確かに大手企業の中でも高い売上を達成する方々も多くいると思います。そのような方が対価として高い待遇を受けるのは当然と思います。

一方で、会社の売上に貢献できないような方々が、ただ日本から出向しているだけで、海外で突然にDirector等の高級職に任命され、高い報酬を受けるのは疑問だと言いたいです。あくまでも、大手の日系企業にある話の一例ですが。

3年から5年で帰任する日本人

日本からの出向で海外で働く方々は、いつかは帰任する時期が訪れます。その時期は、企業によりけりですが、3年から5年ぐらいが多いのかと思います。

この3年から5年の期間は、何か海外の現地企業にとって意味がある期間なのでしょうか?

意味があるとしたら、この期間のうちにある程度の現地化(ローカライゼーション)を実現することだと思います。例えば、海外の現地子会社の社長に、現地人を任命できるような体制を構築することなどです。

今回の話は大手の日系企業についてですが、はっきり行って、そのような企業での経営層は日本から来た駐在員以外がなりえません。また、現地採用で働く日本人や、社内で成果を出しているタイ人がいずれは社長になることも絶対にありません。

ある程度の期間が過ぎれば、経営層や取締役(Director)たちは日本に帰任します。このような人事制度を継続していくことで、本当に良いのでしょうか?

現地企業の率直な意見

日本から出向してくる人によりけりですが、3年から5年の間のビジネスが上手くいくことがあったとしても、帰任した後が大変面倒です。

3年から5年で経営層が帰任してしまうと、帰任した後に新しく海外に赴任された経営層と、現地企業は関係構築を1から始めなおす必要があります。

もちろん経営層が帰任した大手企業では、新しい経営層の考えかたで社内の組織も大幅に変更されることもあるため、働く従業員にとっても重大なことです。

確かに日本の大手企業の海外子会社においては、人事制度の理由によって、ある程度の期間で配置換えが必要なのは理解できます。ですが現地でのビジネスを将来的に継続して、売上も伸ばしていきたいのなら簡単に重要ポストを置き換えるのは良い話ばかりではないと思います。

日本への帰任を命令されれば仕方ない

殆どの大手企業では、日本側の人事が全て社員の赴任や帰任を決めるので、駐在員の方々を責めることはできないのはわかっています。ただ、数年で帰任するような人事を繰り返すのであれば、これは見直して、少しでも現地化(ローカライゼーション)を進めて欲しいのがタイ現地企業の考えです。または、5年というような短期ではなく、10年以上タイで活躍できるような人事制度に改めてほしいと思います。